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山下 哲也/YAMASHITA Tetsuya
Parisより、愛をこめて

1973年東京都生まれ。2002年渡仏。
世界で最も由緒ある老舗カフェ、パリ6区サンジェルマン=デ=プレの、
カフェ・ド・フロールのギャルソン。
フランス文化の継承者・伝道師として生きる。




月別アーカイブ: 9月 2014

我が愛しのサン=シュルピス教会

秋晴れのオフの日、ひさしぶりにサン=シュルピス教会に足を踏み入れる機会に恵まれました。

近年では映画「ダ・ヴィンチ・コード」に登場した舞台としても有名だけど、カフェ・ド・フロールからも程近く、サンジェルマン=デ=プレの人間にとってはまさに憩いの場であるサン=シュルピス広場に君臨するサン=シュルピス教会。広場界隈のブティックやギャラリー、闊歩する小粋なマダムやマドモアゼルを眺めているだけでも楽しいけど、僕にとってこの教会は本当に特別な場所。なにかに誘われる様に、ふとした拍子に、心の命じるままに、訪れずにはいられない。


“ 彼はその壁いっぱいに、先日来絶えず幻視されている或る一つの光景を描き出した。それは、«旧約聖書»の「創世記」第三十二章に見られる天使とヤコブとの格闘の主題であった。夜の暗がりの中で人知れず聖なる力と戦い続け、神と人とに打勝ち、祝福を受けたヤコブ。人間の己を超えた力との不屈の戦い。しかもその勝利は、この世界で、この肉体を以てこそ収められるべきものの筈であった。・・・緑を戴き、雄々しく屹立する木々の狭間で、組み合った肉体は力強く眩しかった。それは決して孤独と苦悩との厳めしいまでに巨大な顕現であってはならなかった。描ききった画家を悔悟のような深い悲しみの底へと沈めるものではなく、彼の生そのものを朝日のように祝福するものでなければならなかった。創作すること自体が讃歌のように高らかに歌われる作品。彼という人間の供犠を必要としない、歓喜に満ちた晴れやかな作品。・・・”

平野啓一郎 『葬送』より抜粋

サン=シュルピス教会 天使の間 ドラクロワ『天使とヤコブの闘い』

勇気が湧いて来る。

また見に来よう!

Parisより、愛をこめて

 


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