2014年4月
« 1月   5月 »
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
山下 哲也/YAMASHITA Tetsuya
Parisより、愛をこめて

1973年東京都生まれ。2002年渡仏。
世界で最も由緒ある老舗カフェ、パリ6区サンジェルマン=デ=プレの、
カフェ・ド・フロールのギャルソン。
フランス文化の継承者・伝道師として生きる。




月別アーカイブ: 4月 2014

チップ あるいはサービスの対価

ある月曜日の給仕にて、

『あそこに座っている女性にこの本を渡して欲しい』と、フランス語を流暢に話すアメリカ人紳士から、自らの著書と一緒に20ユーロ札を手渡される。

クリスティン・スコット・トーマス(イギリスの女優)と白ワインをグラスで飲んでいた男性は御会計38,50ユーロの際に、『おつりはとっておいて』と50ユーロ札を差し出す。

『御会計に10ユーロプラスしてカードをきって』とクレジットカードを差し出す男性。

お帰りの際にさりげなくテーブルに20ユーロ札を置いて立ち去る紳士。

『C`est pour toi』と4名で26,30ユーロの御会計に100ユーロ札を握らせるカール・ラガーフェルド。

そしてetc.

給仕を終えてみれば、この日は我がギャルソン人生で過去最高のチップ額を記録しました。

前日の売り上げ、チップの総額を手帳に記してから、当日の給仕のために紙幣と硬貨で合計400ユーロ準備するのは僕の毎日の日課。

フランスは(アメリカと違って)飲食代金に予めサービス料15%が含まれているので、厳密にいうならばチップを頂く“必要”はありません。

言ってみれば、ある種の“礼儀”?

我がCafé de Floreは(固定給ゼロの)完全歩合制なので、僕らギャルソンは自らのテーブルの売り上げのサービス料15%をお給料として「生活の糧」としています。だから、例えチップを頂かなかったとしてもアメリカみたいにお客さまを走って追いかけることは致しません。(笑)

それでも伝統として、文化として、この世にチップは存在する。

『チップの文化がない』と言われる日本では、日本人の国民的気質もあり、どこに行っても悪いサービスを受けることはない気がする。だけど、その一方で、給仕やサービスに従事する人間が、自分のパフォーマンス次第によってチップや給料が変わるということを知らないがために、日本が世界に誇るおもてなしもしっかり伝わっていないんじゃないかなって勿体無い感がある。

旅館などで心付けを渡す習慣はあるのだから、日本でもチップを渡してもおかしなことはないですよね?!
チップは渡せば渡すほど、渡し方も上手くなると言われます。みなさまも遠慮や照れることなく、これからはどんどんチップをお渡しください。次の良いサービスに繋がる潤滑油みたいなものなので。

さらに言うならば、チップって給仕やサービスに従事する人間のモチベーションを上げるのにも有効だから、もしかするとホテル業界・レストラン業界でサービスを男子一生の仕事として選ぶ日本男児を増やす起爆剤となるかも?などと僕は妄想しています。

みんなで日本にチップの文化を創りませんか?

Parisより、愛をこめて


カテゴリー: 未分類 |