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山下 哲也/YAMASHITA Tetsuya
Parisより、愛をこめて

1973年東京都生まれ。2002年渡仏。
世界で最も由緒ある老舗カフェ、パリ6区サンジェルマン=デ=プレの、
カフェ・ド・フロールのギャルソン。
フランス文化の継承者・伝道師として生きる。




月別アーカイブ: 5月 2013

カフェのギャルソンは個人主義者である

フランス人が個人主義者なので、当たり前ではありますが、カフェのギャルソンって個人主義者でなければ生きていけない。

そもそも“独立自尊”の精神が成り立ちである世界、自らの肉体ひとつを頼りに、Café de Floreの場合は昔ながらの(基本給ゼロの)歩合制のもとで文字通り「生きる糧」を得ている生き物。

だから、各個人の責任の所在がはっきりしている。

自分のテーブルでお客様に給仕するという直接的な仕事もさることながら、開店前・営業中・閉店後においても、自分の担当する持ち場に拠って与えられる責任が違う。

例えば、僕が毎週火曜日16:30〜閉店まで給仕を務めるテラス左翼の場合は、テラス席のテーブルと椅子を店内に片付け、外を箒で掃き掃除する。

でもその前に、テラス左翼を担当するギャルソンは深夜零時過ぎから塩・胡椒、オリーブオイルやバルサミコ、マスタードetc.などの備品を明日の営業の為に補充します。

例え隣りのテラス右翼を担当しているギャルソンに「補充を始めるからケアしておいてね。」と一言お願いしておいたとしても、作業をしながら、見えない自分の持ち場をしっかりコントロールしないといけないのは、言うに及ばず。

“ルネ”(1970年代半ばまで在籍したギャルソンの名前に因んだ室内席右側の一角の呼称)のギャルソンの場合だと、閉店後地下二階のゴミ室まで下りて行って、一日の営業分のゴミを出さないといけない。

また深夜零時過ぎからは、

各ギャルソンが直接管理している固茹でタマゴ・コンフィチュール(ジャム)・クロワッサンやブリオッシュなどのヴィエノワズリーの売れ残りをみんなから買い取り、一括してお店に売り戻します。
また、パティスリーのショウケースの片付け、清掃も“ルネ”の大事な仕事です。

“プイイー”の場合は、与えられている役割が格別なので、また日を改めまして御紹介したいと思います(笑)。

まあでも、こんな昔ながらのシステム、そしてメンタリティで生きているカフェのギャルソンはParisでも少なくなりました。

個人主義者=自己中心者ということでは決してなく、他者をリスペクトすること無しには在り得ない。

プロがプロとして生きる世界。

もしかすると、日本のレストラン業、給仕に従事している人間に欠けているのは、各自に責任と悦びを与えることなのかもしれません。

Parisより、愛をこめて。

 


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