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山下 哲也/YAMASHITA Tetsuya
Parisより、愛をこめて

1973年東京都生まれ。2002年渡仏。
世界で最も由緒ある老舗カフェ、パリ6区サンジェルマン=デ=プレの、
カフェ・ド・フロールのギャルソン。
フランス文化の継承者・伝道師として生きる。





偏愛 BERNARD ZINSとの再会

サンジェルマン=デ=プレの路地でベルナール・ザンスと再会した。

『このパンツはフランスのザンスというファクトリーでつくられているんだよ。』と20歳の僕に教えてくれたのは、当時入り浸っていた原宿のインターナショナルギャラリー・ビームスの店員さんだった。あの頃ザンス製のBEAMSオリジナルのパンツを何本買っただろうか。ジーンズを毛嫌いしていた僕はいつもウールのパンタロンを偏愛していた。20代も半ばになると何時しかイタリアのINCOTEXインコテックスばかり穿くようになった。渡仏してからはジーンズ一辺倒の毎日をこの13年ばかり過ごしていたけれども、それはある種の諦めに似たものだった。如何なるメゾンのパンタロンを試着しても、自らの理想に叶うものが無かったから。ザンスという固有名詞は頭の片隅から離れることなく、、。

フランスが誇るグラン・メゾであるエルメス、シャネル、ルイ・ヴィトン、ランバン、オールド・イングランド、そしてアルニスetc.のパンツのファクトリーとして名を馳せたベルナール・ザンスがパンタロン専門のブランドとしてサンジェルマン=デ=プレに第一号店を構えたのはちょうど約一年前。“ ひとは、本人の血族のみでなく、文学のなかにも先祖を有する ”と言ったのは稀代のダンディズムを体現したオスカー・ワイルドだけれども、新生ベルナール・ザンスのパンツを試着した際に僕は「ひとは、本人の血族のみではなく、ファッションのなかにも先祖を有する」と実感しました。

幾つかのモデルを試着させて頂いたけど、BZV3 PFというフレンチ1タック(pli français)という型がやっぱり僕の気分です。写真のタータンチェックのパンツもフレンチなBCBG(ボンシック・ボンジャンル)を踏襲する正統的なもので素敵ですねー!

現代風なノータックなパンタロンが主な製品展開のなかで、僕が今回購入したのはやっぱりBZV3 PFモデルのフランネルのチャコール・グレーのこちらの一本。文面では伝えられないけど、試着そして裾上げの仕上げを終えて穿いた時のフィッティングに、最愛のひとと再会した時のような感動に思わず心のなかで叫びました!裾幅17,5cmながらヒップそして太腿に適度な余裕を持たせつつ、美脚効果もあるフレンチ・1タックは正にエレガンスの極致。内側のステッチやボタン穴に赤い糸を使用するあたり、フレンチのエスプリ薫るパンタロンです。脚の裾上げ以外まったくお直しをすることなく、僕の身体にピッタリとフィットするパンタロンに巡り会えた慶びに、チノパンも同時に購入してしまいました。(笑)両方とも裾はノークッションのくるぶし丈でダブル5cmの仕上げという、Paris左岸のエスプリを体現した我が愛しのアルニス仕様にしてみました。

店員さんに頼んで、試着したチノパンをそのまま穿いて帰途についた次第です。当日履いていた20年モノのJ.M.WESTONの靴とも抜群の相性!というか、結局一度惚れ込んだものにはそれなりの理由、あるいは理では説明出来ないraison d`êtreがあるんですよね(?!)

昨年あたりから日本のセレクトショップでも再びベルナール・ザンスのパンツの別注を展開しているみたいだけど、世にも奇妙なことにフランスが誇るパンツ・メーカーBERNARD ZINSのアイコンである1タック(フレンチ・タック)は残念ながら展開していないとの旨。日本では相変わらずイタリアのブランドが持て囃されている今日ですが、まだ未体験の方はダマされたと思って浮気してみてください!(笑)

フレンチ・シックを体現する僕は再び巡り会えたBERNARD ZINSのパンツを偏愛する日々を享受したいと思います。

Parisより、愛をこめて。

 

 


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